· 

サーフィンから学んだマーケティング

「波は、フィートやインチで測るものじゃない。波は恐怖の大小で測られるものだ」――これは、私が敬愛するバジー・トレントという伝説的なプロサーファーが語った言葉です。 

 

私もサーファーとしての顔を持ちますが、こちらを私の専門領域であるデジタルマーケティングの世界に当てはめても、非常によく当てはまる原理だと実感しています。私はこれまで大手・中小、そして日系・外資を含め、多様な性質に満ちた消費財マーケティングの波を渡ってきました。ここで巻き起こる波、いわゆる市場ニーズは可視化された数字では測りきれない所が多く、積み重ねた経験と知見による鋭い洞察力と先見性が不可欠となります。

 

私はこの多様で複雑な波を乗りこなす為に、確固たる3つの信条を構築して来ました。

 

まず、「お客様の深層を穿つ」こと。お客様が声として発するご要望やクレームは氷山の一角に過ぎず、「真に求めるもの」は奥深く海底に存在しています。その本質的・抜本的なニーズを掘り下げ、ニーズと問題を正しく理解することが重要です。

 

そして、次はそうして正しく理解したニーズと問題に対する解決行動で、「トライ&エラーを厭わない」こと。常に流動し続ける波を乗りこなすに必要なのは、挑戦と継続の気概です。正しい理解に基づく実践の繰り返しが、必ず何らかの閃きと活路を見出します。ただし、そうした挑戦が無謀なものであってはいけません。

 

真の勇気には「慎重さ」が必要です。危険な波を乗りこなしても自らが故障しては全く意味がありません。そこで、最後の信条は「安全を確保する」こと。最高のシナリオと共に、最低のシナリオについても精緻に読み解き、SWOT理解に基づいて切り札と余裕を同時に獲得しておくことを強く意識します。

 

以上のような信条を基軸としたマーケティング展開により、私は「当初の売上目標から2.5倍の売上の結果を1年以内で達成する」「Eメールプロモーションにより社内経費の大幅な削減を実現」「店内の棚スペースが激減する中でも年初の売上目標を達成」といった、数々の成功体験を獲得します。世の中は変わり続けますが、洗練を尽くした原理や信条はどういった状況にも呼応するものです。今後も私はマーケターとしてもサーファーとしても、上述の原理を基盤としながら、意欲的に研鑽と前進を続けていきたいと考えております。